関節リウマチは、進行抑制や寛解(かんかい)が可能な病気です
「リウマチと診断されても、自分らしく過ごし続けられるために」
20世紀までは不治の病とされていた関節リウマチですが、生物学的製剤が日本でも使用できるようになり、現在は完全な寛解(かんかい:病気が完全に抑えられた状態)も望める病気になっています。その結果、以前はくい止められなかった関節変形も阻止が期待できる治療法により、リウマチを早期に診断して適切な治療を行うことができれば、症状を残さずに治癒できる可能性まで期待されるようになっています。病気の進行抑制と、効果的な痛みの解消ができれば、リウマチであってもお仕事や趣味を制限する事なく日常生活を送れる時代になっています。実現の為には、症状が進行する前に、できるだけ早期に診断し、早く治療を開始する事が大切です。
関節リウマチでは痛みなどが現れる前に何となく疲れやすい、食欲がない、体重減少、微熱が続く、肩や肘や膝などに原因不明の腫れが起こるといった初期症状が現れることがあります。できるだけ早くご相談ください。
関節リウマチとは
関節には関節液を作る滑膜(かつまく)という組織があります。関節リウマチは、この滑膜組織に炎症が起こり、腫れや痛みを生じる疾患です。進行すると炎症の結果で関節が変形し、機能を果たせなくなり、日常生活に困難を生じます。はっきりとした原因はまだわかっていませんが、遺伝的要因やウイルス感染、ストレス、喫煙などが関与していると考えられており、自己の免疫系統に混乱をきたした状態であると考えられています。主に指、手首、肘、肩、ひざ、足首、足の指などの関節に症状が現れますが、全身の関節、肺、眼などにも炎症が及ぶケースが存在します。全身の炎症で体が消耗し、微熱や倦怠感などの症状が先に現れることがあります。
30~50歳代の女性の発症が多い傾向があり、日本では現在、100万人以上(人口の約1%)が関節リウマチの治療を受けていると報告されています。また人口の高齢化により、最近では高齢で発症するリウマチも珍しくなく、合併症を多く抱えている事があり、治療法の選択に慎重な判断を要する場合があります。
当院の関節リウマチ診療
当院では、患者さん一人ひとりの背景や生活、症状に合わせた治療を行っています。診断後は速やかに病状の進行を抑制する薬物療法(T2T)の開始が必要です。軸となる薬物は現在、メソトレキサート等の免疫抑制薬や抗リウマチ薬(DMARDS)、ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)の内服や外用、副腎皮質ステロイドの内服や関節内注射、ヒアルロン酸の関節内注射などを行い、それでも病気が進行する場合には生物学的製剤を使った治療も実施しております。
早期発見のために全身症状や起床時のこわばりに注意を
繰り返しになりますが、関節リウマチでは早期発見と早期治療がとても重要です。下記のような症状に気付いたら、できるだけ早くご相談ください。
- 食欲がない
- 体重が減少
- 微熱が続く
- 原因不明の関節の痛みを繰り返す
- 何となくだるい、朝起きると手がこわばっている
- 疲れが抜けない
- ご家族に関節リウマチや膠原病と診断された方がおられる
これらの症状を起こす病気には、関節リウマチ以外にも、膠原病(こうげんびょう)、強直性脊椎炎、脊椎関節炎、乾癬(かんせん)、リウマチ性多発筋痛症、関節炎、線維筋痛症などが考えられます。
これらの病気の区別を行い早目の診断が必要です。
症状が出やすい箇所
手指や手首に症状が現れることが多いのですが、片手だけでなく、両手に症状があることもあります。起きやすい場所としては、手関節、中手指節関節(手の指の付け根の関節)、近位指節関節(指先から2番目の関節)があります。
また、顎や肩や膝の痛みも診断前に多くの患者さんが経験されている症状として聞かれます。