こどもの診察について
0歳児のお子様から診察しております。赤ちゃんからこどものうちは、耳、鼻、のどのトラブルをすぐにおこします。当院では、0歳児から診察できる、鼻の吸引用の管、耳処置用の器具、細径のファイバースコープなどをそろえております。こどもの間で流行する、溶連菌、インフルエンザ、アデノウイルスなどの各種迅速検査もできますので、ご相談下さい。また、ベビーカーで来院される方も、バリアフリーで診察室内に入って頂けます。お子様がいらっしゃる方も安心してお越しください。経験豊富なスタッフがお出迎え致します。
ご高齢の方の診察について
耳について
耳は「聴く」ことに加え、身体の安定を保つ平衡感覚を知る役割も持った器官です。耳は、入口から鼓膜までの外耳、耳小骨や耳管のある中耳、蝸牛や三半規管のある内耳に分かれています。蝸牛は音の振動を神経の信号に変換する役割を担い、三半規管は平衡感覚を司っています。こうしたことから、耳の疾患では聴こえの問題の他に、めまいなど身体のバランス感覚に関する症状が現れることもあります。
耳の症状について
耳の痛み、かゆみ、耳が詰まるような耳閉感、聴こえにくい難聴、耳鳴り、耳漏(耳だれ)、耳からの出血、ふらつき、めまいなどがあります。
耳の検査について
ティンパノメトリー、フレンツェル赤外線眼鏡、聴力検査、顕微鏡による診察を行っています。
耳の病気について
中耳炎(急性、滲出性、慢性・真珠腫性)
鼓膜より奥にある中耳に起こる炎症です。急性、滲出性、慢性・真珠腫性に分けられます。痛みやかゆみ、腫れ、発熱、耳閉感、難聴、耳漏、耳鳴り、めまいなどの症状が現れます。
急性中耳炎
症状
風邪の後など、鼻やのどの炎症に引き続いておこることが多く、耳管と呼ばれる耳と鼻をつなぐ管を通って、鼓膜の奥の中耳という場所に細菌やウイルスが入り、炎症がおきて、膿がたまる病気です。進行すると、鼓膜の一部が破れて、外耳道に流れ、耳だれが出てくる場合があります。集団保育、2歳未満の乳幼児のお子様の場合は、何回も反復し、重症化、難治化することがあります。
激しい耳の痛み、耳だれ、発熱、耳が詰まった感じ、聞こえにくさなどを感じます。小さいこどもでは、痛みを表現できないために、機嫌が悪く泣いたり、耳をよくさわることがあります。
治療内容
- 初期の場合は、通院して頂いて鼻水を吸引し、中耳とつながるお鼻の中の菌を減らします。さらに抗生物質や炎症を抑えるお薬で治療していきます。
- 膿がたまって鼓膜が腫れて痛みが強く、高熱が続く場合は、鼓膜を小さく切って、中の膿を吸い出すと早く症状が改善する場合があります。
- 急性中耳炎を放置すると、再発や、鼓膜の穴の閉鎖不全、滲出性中耳炎に移行することがあるので注意が必要です。
- 近年、抗生剤に対して抵抗力を持った細菌が原因の中耳炎が問題になっております。鼻咽腔の菌検査を行い、これに基づいた抗生剤の使い方も大事となってきます。
- 感染ルートとなった鼻腔の正常化、つまり鼻処置は早期治療の助けとなっております。
以後お気をつけ頂きたい事
通常、完全に治るまでには1~2週間程度はかかりますの で、その期間はお薬が必要です。(お子様の場合、寒い季節は治療期間が長引くこともあります。) 急性中耳炎の治療を怠ると、より重い病気になることもあります。治るまできちんと治療しましょう。
滲出性中耳炎
症状
鼓膜の奥に液体がたまる症状です。液体がたまると、鼓膜やその周辺の骨の動きが悪くなり、外からの音が鼓膜から伝わりにくくなります。その結果、耳の聞こえが悪くなります。子どもさんや高齢者の方などは、症状がわかりにくい場合がありますので、聞こえにくそうにしていることに気付いたら受診するようにしてください。
治療内容
- 子供や高齢者の方は、耳管の換気の働きが弱いので、鼓膜の奥に滲出液がたまりやすくなります。
- 治るまで、きちんと治療することが大事になります。耳と鼻をつなぐ管(耳管)の働きをスムーズにし、溜まった滲出液を排出し、治癒を促します。
- 鼻の病気がある場合はこちらも治療して、耳管の働きをスムーズにします。
- 耳管の働きをスムーズにするためのお薬や、粘膜のむくみを改善するお薬で、耳管を開きやすくします。
- 必要な場合は、耳管から空気を送る通気処置を行います。鼓膜に穴を開けて滲出液を出したりすることもあります。
- 慢性疾患ですので、短期間での治療では不十分で、
長期間の定期的な治療が必要となります。
慢性・真珠腫性中耳炎
急性中耳炎が長引いたり、炎症が強く、鼓膜に穴が開いたままになっている状態が慢性中耳炎です。耳漏、耳閉感、耳鳴り、難聴などの症状を起こします。慢性中耳炎では痛みが起こることはほとんどありません。また、鼓膜に穴があるため中耳の感染リスクが高くなり、炎症を繰り返すことがあります。鼓膜が内耳に癒着する癒着性内耳炎になることもあります。また鼓膜の一部が中耳腔に入り込んで耳垢が堆積し、周囲の骨などの組織を破壊していく真珠腫性中耳炎もあります。真珠腫性中耳炎は重症度の高い中耳炎で、治療には鼓室形成術などの手術が必要です。手術が必要と判断した場合は耳手術の経験の豊富な病院へ紹介します。
耳垢栓塞(じこうせんそく)
耳垢(みみあか)が大量に溜まって固まりとなる事で耳の穴がふさがり、難聴・耳鳴りといった症状がでます。乳幼児や高齢者の方は耳垢で耳の穴がふさがっていることに気づかず放置してしまうことがあります。耳垢が難聴の原因となっていることがあるので、定期的なチェックが必要です。気になる方は、当院で取り除きますのでお気軽にご相談ください。
外耳炎
入口から鼓膜までの間の外耳に炎症を起こしている状態です。耳かきのし過ぎで発症することが多いです。
代表的な症状は痛みやかゆみ、耳だれです。気にして何度も触っていると悪化させやすい傾向があります。耳の詰まった感じ、痛みが強いと夜も眠れないといったことになります。外耳炎が長引く場合、真菌というカビの一種が原因で炎症を起こしていることがあります。この場合、耳だれの検査を行い、外耳道を清潔にし、抗真菌薬を用いないと治療効果がないため必ず専門医を受診して適切な治療を受けるようにしてください。
治療内容
外耳道の消毒、抗菌剤(ばい菌を殺す)での処置を行います。耳のことが気になる時は、自分で耳掃除をするのではなく、耳鼻科で耳の処置を受けましょう。
難聴
聴覚が低下した状態で、外耳炎や中耳炎によって起こる伝音難聴と、老人性難聴、突発性難聴、急性低音障害型感音難聴、メニエール病などによる感音難聴があります。原因が外耳、中耳、内耳のどこにあるのかなどによって治療法が異なります。
症状には、突然起こる聴こえの悪さ、耳閉感、音にエコーがかかって聴こえる、耳鳴り、めまい、吐き気などがあります。
めまい
耳の一番奥にある内耳には、3つの半規管や耳石器があって平衡バランスを司っています。めまいは内耳になんらかの障害があって起こることが多くなっています。ただし、脳神経外科や整形外科、神経内科領域の疾患で起こることもあり、正確な診断が不可欠です。当院では、目の動きを確認する眼振検査、聴力検査などを行って内耳に原因があるめまいかどうかをしっかり確かめています。
めまいの症状は、自分や周囲がぐるぐる回っているようなもの、足元がふわふわ不安定に感じるものがあり、聴こえの悪さや耳閉感、頭重感、耳鳴りをともなうこともあります。QOL(クオリティ・オブ・ライフ)を著しく下げ、日常生活やお仕事への支障が大きい症状ですから、早めに受診してください。
当院では、整形外科領域の疾患で起こるめまいに対して、リハビリを行っており、不調を改善できる可能性があります。
良性発作性頭位めまい症
症状
治療内容と、以後お気をつけ頂きたい事
メニエール病
めまい、難聴、吐き気などの発作が繰り返し起こる病気です。一般的には「耳鳴り」や「難聴」を伴うことが多いです。耳の奥の内耳という場所が水ぶくれ状態となり、 これが原因で周辺の神経を圧迫して起こる病気です。
水ぶくれをおこす原因は現在ではまだよくわかっていませんが、肉体的・精神的スト レスが一因と考えられます。メニエール病は主に片側の内耳が障害されたことにより発症しますが、まれに両側におこる方がいます。メニエール病は脳からくるめまいではないので、生命の危険はありません。
症状
数時間つづき、一日以内におさまることが多いです。回転性めまい、難聴、耳鳴りを繰り返し、徐々に聴力の悪化が進行することがあります。めまいの発作を繰り返すうちに、経過の中で、反対側の聴力にも影響を及ぼすことがあります。吐き気や嘔吐、冷や汗などを伴うこともあります。
原因は、内耳の中のリンパ液のむくみで「内リンパ水腫」とも呼ばれます。めまい発作が一回だけでは突発性難聴と区別がつきませんが、繰り返し起こったり難聴を伴うことで、メニエール病と診断します。リンパ液のむくみがおこる原因は、現在ではよくまだわかっておりませんが、肉体的・精神的ストレスが一因と考えられます。
治療内容
治療は、抗めまい薬、浸透圧利尿薬、循環改善薬、ビタミン剤、漢方などを使用します。現在、メニエール病を完全に治すことは困難と考えられており、発作がおこると、めまいを抑え、心身を整えて、次回の発作がおこらないように気をつけます。有酸素運動や、水分摂取、規則正しい生活、飲酒を控えるなどが効果的と言われ、実践をおねがいしています。
突発性難聴
症状
明らかな原因もなく、ある日突然、片耳が急に聞こえなくなる病気です。多くの場合は片耳だけに起こります。全く聞こえなくなるほどの重症のものから、耳が詰まった感じのみの軽症のものまで、いろんなタイプがあります。原因はウイルス感染や、内耳の循環障害などが原因ではないかといわれておりますが、現時点では原因不明な疾患です。
発症したあと、早い段階で適切な治療を受ければ症状が改善する確率も高くなりますので、なるべく早く、1週間以内に治療開始することが重要です。
耳が突然聞こえなくなった、耳閉感、音が二重に聞こえる、耳鳴りが続くなどの症状がおこることがあります。
治療内容
ステロイドやビタミン剤、血流改善薬、ビタミン剤などを内服します。患者さんの家での状態や、仕事を考慮しながら、数日間で薬の反応をみます。改善がみられない場合や、高度の難聴の場合、糖尿病がある場合は病院での入院をお勧めする場合があります。入院や点滴治療が必要と考えられるばあいは、提携病院にご紹介しております、
耳の神経がダメージを受けている状態なので、大きな音を聞かないようにする、ストレスを避けて安静にするなどの生活上の注意が必要です。
1~2週間は安静にして、精神的ストレスを避けるようにしましょう。
- 仕事上、診断書や証明書の必要な方はご相談下さい。
- 主にお薬での治療を行います。使用する薬剤は血液の流れをよくする薬剤、代謝を促進する薬剤、ビタミンB剤、ステロイドなどです。
- また、症状の程度に応じて入院をお願いすることもあります。
急性低音障害型感音難聴
症状
耳の内耳の障害が原因となり、聞こえが悪くなったり、耳閉感(耳が詰まった感じ)がある病気です。急に発症します。
原因については、現在はまだ明確になっておりません。内リンパ水腫(耳の中のリンパのむくみ)のような状態とも考えられておりますが、ストレスや
過労、睡眠不足などが発症の引き金と考えられています。
急性低音障害型観音難聴は若い女性に比較的多く発症すると言われており、その症状は、
- 耳が詰まった感じ(耳閉感)
- 音が歪んで聞こえる
- 耳の中に水が入ったような感じがする
- 低い音で耳鳴りがある
- 自分の声がひびく
といったものがあげられます。メニエール病とも似ておりますが、
治療内容
ビタミンB12製剤 | 内耳に必要なビタミンです。 |
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脳循環改善剤 | 内耳の血行をよくします。 |
利尿剤 | 内耳水圧を下げます。 |
(場合に応じて) 漢方薬 | 全身の体調を整えます。 |
(場合に応じて) ステロイドホルモン剤 | 急な神経麻痺(神経のむくみ)を改善します。ただ、徐々に減らしていく必要がありますので、決してご自分の判断で中止しないでください。また経過により血液検査が必要となる場合があります。 また、睡眠不足、ストレス、体の慢性的な疲れなど心当たりがある場合は、普段よりもゆっくり休むことが大切です。以上の治療でなかなか治らない場合は、入院治療をおすすめする場合があります。 |
耳管狭窄症・耳管開放症
鼻と耳は耳管(じかん)と呼ばれる管でつながっています。普段はこの管はふさがっていますが、あくびやものを飲み込む時に開き、耳の中と外の圧力を同じにします。この調節がうまく働かず、耳管が閉じたままだったり、常に開いている状態になると、様々な症状があらわれます。症状としては、どちらも耳の詰まったような感覚になります。耳管狭窄症では、滲出性中耳炎を起こすこともあります。耳管開放症では自分の声が響いて聴こえたり、自分の呼吸音が聞こえてしまうことがあります。 原因としては、耳管狭窄症は、 風邪やアデノイドの肥大、腫瘍の圧迫などがあります。耳管開放症では風邪、急激な体重の減少、 妊娠、ストレスなど様々な原因があります。
治療内容
耳管狭窄症では、耳管開口部の炎症を取り除くのが基本で、鼻の処置、鼻ネブライザーを行います。中耳に溜まった液を取り除くため、 耳管通気を行うこともあります。このような保存的治療で改善しない時は、鼓膜に換気チュー ブを取り付けます。
耳管開放症の治療は、軽症の場合は生活指導、漢方薬などの投与で様子をみます。
補聴器相談
聞こえと補聴器に精通した補聴器認定技術者が患者様の補聴器ケアにあたっています。
補聴器を初めてお使いになる方には
- 専門医の診断
- 補聴器装用についてのガイダンス
- 一人ひとりの患者さんに合わせた3ヶ月間無料補聴器トライアル(貸し出し、調整、カウンセリング)
- 購入相談
すでに補聴器をお持ちの方には
補聴器の機能チェックや補聴状態の確認を行い、補聴器装用が継続できるように、専門家による調整・ケアを行います。
補聴器に慣れてこられた方には
聴こえの感覚は少しずつ磨かれていきますが、「早口の話が聴きづらい」「食事会など、周りがにぎやかな場所では会話が聞きとれない」方が多くおられます。この補聴器の限界を超えられるように一人ひとりに合ったトレーニングをご提案しています。どうぞご相談ください。