腰痛とは
腰痛・肩こりは日本人が感じる体の不調のトップ2です。(平成28年国民生活基礎調査で男性1位:腰痛、2位:肩こり,女性1位:肩こり、2位:腰痛)
腰痛は直立二足歩行を行う人類にとって宿命的な症状とも言えます。また、現代人の生活様式は長時間同じ姿勢を保つ仕事に就いている方が多く、腰痛の発生に大きく影響しています。
腰痛治療では、痛みを緩和する治療(対症療法)、痛みの原因を取り除く治療(根本治療)のどちらも重要です。当院では、一般的なお薬の治療だけでなく、強い痛みに対してはトリガーポイント注射、各種ブロック注射、点滴注射、エコーガイド下のハイドロリース(筋膜リリース)なども組み合わせることで効果的に、できるだけ早く痛みを解消できるようにしています。また、理学療法士がお身体をきめ細かくチェックして体の固さ・動かし方・癖などを確認し、痛みを引き起こす原因を改善する運動療法も行っています。
さらに医師の監修のもとで整体治療を行う事で脊椎全体の姿勢を整え、腰痛を起こしにくい体づくりに取り組んで頂く事ができます。
腰痛を起こしにくい身体の使い方、筋力と柔軟性をアップさせるトレーニングなど、無理なく続けられる効果的なプログラムを患者さん一人ひとりに合わせてご提案し、運動や体操が習慣づくまで丁寧に指導することで再発予防につなげています。腰痛を起こす原因には、腰自体の疾患によるものだけでなく、他の部位に起こった整形外科的な疾患、血管疾患・泌尿器疾患・消化器疾患などがあり、中には早急な治療を要するケースもあります。当院では腰痛で受診された場合、整形外科以外の原因も考慮しながら診察を行っています。
また、腰痛は急性と慢性に大きく分けられます。
急性腰痛
いわゆる「ぎっくり腰」で、腰をひねったり、重いものを持ち上げるといった急激で強い負荷によって起こります。激しい痛みが生じて腰の屈伸やひねるといった動作が行えなくなり、動けなくなることもあります。
慢性腰痛
痛みが長期間続きますが、激しい痛みではなく、鈍い疼痛や腰の動かしにくさ、だるさなどが続くケースが多くなっています。動作により痛みは強くなり、臀部や大腿の痛みやしびれ(いわゆる坐骨神経痛)が起こることもあります。
腰痛の原因
腰椎(背骨)に問題があるものと、それ以外に大きく分けられます。それぞれの代表的な原因となる疾患は下記の通りです。
腰椎に問題がある腰痛の原因疾患
変形性腰椎症、腰部脊柱管狭窄症、変性すべり症など
主に加齢によって発症します。
腰椎圧迫骨折、脱臼など
主に外傷によって起こります。骨粗鬆症の進行した方では、転んでいないのに圧迫骨折が起こることがあり、“いつのまにか骨折”と呼ばれています。
化膿性脊椎炎、結核性脊椎炎など
細菌の感染が原因で発症します。
先天異常や側弯症、腰椎分離症などによるもの
成長期に発症する腰痛もあります。
転移性骨腫瘍がんなど
腫瘍により脊椎が脆くなり、骨折を起こすことで発症します(病的骨折)。
腰以外の疾患によって起こる腰痛
解離性大動脈瘤など
大動脈の血管が層構造に沿って剥離する血管の病気で腰痛が起こることがあります。
尿路結石
結石が尿管の細い部分にひっかかるなどにより強い腰痛が起こることがあります。
胆嚢炎、十二指腸潰瘍など
消化器に起こる病気でも腰痛が起こることがあります。
子宮筋腫、子宮内膜症など
婦人科の病気でも腰痛が起こることがあります。
変形性股関節症など
股関節に起こる整形外科領域の疾患が原因で腰痛を起こすことがあります。
身体表現性障害、統合失調症など
ストレスや自律神経の乱れ、精神的なトラブルによって腰痛が現れることがあります。
腰痛の症状
腰痛も早めの受診でより効果的な治療が可能になります。また、できるだけ早く治療を受けないと重症化や命の危険につながる可能性がある腰痛もあります。気になる痛みや、痛み方の変化を感じられた際は、放置せずご相談ください。
代表的な腰痛の症状
- いきなり腰に強い痛みが起こる
- 同じ姿勢を続けていると腰が重く、だるくなってくる
- 特定の動作によって腰が痛む
- しばらく歩いていると腰痛が起こり、少し休まないと歩行を続けられない
早急な受診が必要な症状
- 安静を保っていても痛い
- 痛みがおさまらず、強くなってきた
- 発熱している
- 下肢(大腿・ふくらはぎやすね、足首、足、足指)にしびれがある
- 足に力が入らず、歩行が困難
- 尿が漏れる、あるいは尿意があるのに排尿できない
腰痛の診療と治療
あらゆる疾患の可能性を考慮に入れた上で、しっかりお話をうかがいます。その上で症状や状態に応じて必要な検査を行い、その結果をもとに診断します。院内で行う検査には、X線(レントゲン)検査、エコー(超音波検査)、血液・尿検査などがあります。診察の結果必要と判断した場合は、提携病院にCT、MRIの撮影依頼を行います。
医師より検査結果をわかりやすくご報告し、必要な治療や予防法についてくわしくご説明します。治療方針は、患者さんの生活状況に合わせて相談し、専属の療法士によるリハビリテーションや、お薬の処方、注射などを行います。
当院で行う治療内容
腰痛は原因疾患によって治療法が大きく異なります。整形外科領域の疾患による腰痛の場合、主な治療法には薬物療法、ブロック注射、装具療法(コルセットなど)、リハビリテーション、手術治療などがあります。当院では、ライフスタイルやお仕事、症状などに合わせた治療法をご提案しています。骨や関節、椎間板などに異常がない方の腰痛では、リハビリテーションや整体治療など、体の動きを整えることで腰痛を軽くする方法を積極的に取り入れています。
再発しやすい腰痛の予防にも力を入れています
腰痛があると身体を動かす機会が減り、筋力や柔軟性が衰えて可動域が狭くなり、腰痛の再発を繰り返すことがよくあります。こうした悪循環を断ち切るために、当院では痛みを緩和する治療に加え、国家資格を持つ理学療法士や柔道整復師が患者さんそれぞれにとって無理のない運動療法やトレーニングのプログラムを作成し、運動プログラムが習慣化し、患者さんに定着するまで一緒になって取り組んでいます。また、腰に負担をかけない動作や生活習慣などについてもきめ細かくご指導しています。